あの日の帰り道
「そうじゃなくて……自分で自分が情けなくなっただけだから気にしないで」
そうだ。
彼氏は必要ないと自分で決めたくせに、頭を撫でる手を拒否れないでいる。
心配してくれてる事を分かっていながら甘えようとしている自分……。
これじゃ、男に媚びる嫌な女とやってる事は同じだ。
そう自己嫌悪した私はそっと頭を上げた。
相沢くんの顔を見ないように、頭を上げても視線は落としたまま話しを続ける。
「この頃、勉強もやる気出ないの。バイトも上の空だったりして集中出来ない自分が情けないだけ」
笑って茶化しながら言いたかったけど、苦笑いするのが精一杯だった。
俯いてそんな顔したところで自分の髪が相沢くんの視界からガードしてるので、相沢くんからは見えてないだろう。
そう思ったのに。
頭を撫でていた相沢くんの手が滑り落ちて頬に触れた。