The Math Book
二学期期末試験の数学が返ってきて家族の前で泣きじゃくったあの日、ついに母が「塾に行く」という選択肢を真面目に考えてくれる様になった。
相変わらず酷すぎる数学の結果を見ても私を塾に通わせるのに猛反対をしていた父だったが、母が味方になってくれただけでも心強かった。
私を塾に通わせる、通わせないということで家族会議が開かれたほどだ。
確かあの時は二時間くらい会議をした。最後まで私の実力を信じてくれた父はなかなか賛成はしてくれなかった。
それでももう私の限界はきていた。
「塾に行かなければ私は自分を変えられない、一生懸命勉強するから塾に行かせて!」
そう懇願したことを覚えている。
あとで父から聞いた話だが、父は私が塾に行くことで家族との時間が取れなくなってしまうことが嫌だったという。
塾に行くことを猛反対していた父だったが、家族を大切にしたいという気持ちを持った父は今でも尊敬している。
父をなんとか説得して一月の下旬、母が塾の体験授業を申し込んでくれた。
父は当時、塾に行くことに賛成とは言っていなかったのだが。恐らく私や母の根気づよさに負けたのだろう。
あの時、やっと念願だった塾に行けるとずっとワクワクしていた。