The Math Book

「三学期期末試験、何点目標にする?」

「30点です。」

「え、それは低くない?」

「だって私30点以上取ったことないですもん、中学に入ってから。」

「せめて50点でしょ」

「いや、無理です、先生。」

「じゃあ60点で。」

「え!?ちょ、ちょ、先生、それは無理ですってあと30点上げるとか」

「いや、俺は妥当だと思う。」

「え、ちょっ・・・」

 私が言い返そうとした時は時すでに遅し。

 先生はカルテに期末試験の目標を60点以上と書き込んでしまっていた。

 残り一ヶ月で数学30点以上あげることは私にとっては至難であった。

 ただでさえ数学に全てを捧げて臨んだ二学期期末試験も1点ものびなかったのに一ヶ月で30点は正直無理であると思っていた。試験範囲は確率。


「ってことでまあ頑張っていきましょう」

「先生のこと、恨みますよ、まじで。60点じゃなくて私は30点取れる様になるから。」

「まあ別にいいけど30点でも。」

 そう言ってZ先生はくしゃっと笑ってくれた。

 
 
 
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