The Math Book
面談は意外に早く、二十分ほどで終わった。
先生方に挨拶をして母親と教室を後にする。
面談が七時くらいに終わり、空腹だったので帰りは母と焼き鳥屋さんに寄り、
私の大好きなつくねとねぎまのたれを買って家で食べた。
買って来た焼き鳥が並ぶ食卓を母と2人で囲んで食べていた時、母がとんでもなく面白いことを言い出した。
「Z先生ってムーミンに似てるわよね」
一瞬ギョッとした。
危うく食べかけていたつくねを吹き出しそうになってしまった。
「え!?な、なんで?全然似てないよ?どこが似てるの?」
母の主張はこうだ。
「顔がのんびりしててちょっとドジっぽい顔してるじゃない。なんかいつもボーッとしてて可愛い感じの先生だよね。だからムーミン谷のムーミンを想像しちゃった。ほら、歌にあるじゃない、ねえムーミン、こっち向ーいてって」
「や、やめてよお母さん!Z先生がかわいそうじゃない!」
そう言って止めようとしたがZ先生には申し訳ないことに自分まで笑いのツボに入ってしまっていた。
「あ、あと天才バカボンにも似てるかも」
「お母さん!もういい加減にして!もう塾行く度に先生の顔見て笑う様になっちゃうじゃん!もー本当に最悪ー!」
あまりにも失礼すぎる発言。あの後、母にはきつく口止めをされたが後々Z先生に報告してしまうことになる。だいぶ後の話にはなるが。
とにかくその時の焼き鳥はムーミン騒動のせいであまり美味しさを感じられなくなってしまった。