僕の居場所は
『課題、出たんだ。数学?』

『そうです。あ、そろそろ落ちますね!』

『分かった。部活、頑張ってね』

そう返して、僕はスマホをカバンに入れる。そして、部室に向かって歩き始めた。



「その絵柄……俺、知ってますよ」

あれから1か月。僕が部室でスケッチブックに、創作キャラを描いてると、誰かに声をかけられた。

声がした方を見ると、初めて見る子が僕の絵を覗き込んでいた。

「……君は?」

「俺?俺は、1年生の若瀬 翠(わかせ みどり)と言います。実は、転校生で……」

自己紹介をして、翠は微笑む。

「僕は、3年生の水谷 碧(みずたに あお)。よろしく」

「よろしくお願いします。この絵柄って、アイオさんの絵柄……ですよね?」

その言葉に、僕は驚いた。その顔を見て、翠はクスりと笑う。

「……やっぱり、そうなんですね。俺、みどりという名前でネットにイラストを投稿してます」

そう言いながら、翠はスマホに入ってるイラストを見せてくれた。それは、みどりさんのイラストそのものだった。

「……凄い……前にも言ったけど、透明感があって、綺麗な絵だな……」

「ありがとうございます。先輩の絵も素敵だと思いますよ?柔らかくて……」
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