僕の居場所は



「もう……無理、だ……」

校舎裏まで走ってくると、壁にもたれてため息をつく。

教室で、クラスメイトに「碧の絵は、下手だな!目障りだ!」って僕の絵を切り刻まれた。

何で素直に「止めて」が言えないんだろう。何で辛いのに、何でもないように笑えるんだろう。そのせいで、皆僕から離れてくんだ。

そうすべて僕が……。

気が付けば、手に握ってたシャーペンで自分の腕を引っ掻いてた。何度も何度も、腕を傷つける。

「……先輩?」

不意に誰かの声がした。……まずい。見つかっちゃった……何を言われるんだろう。怖い、怖い……。

僕は、声をした方を向く。そこにいたのは、翠。翠は、驚いたような顔をして、僕を見てた。

「……先輩!その傷は……?」

見られてた……逃げなきゃ……。

逃げようとする僕の腕を、翠が掴む。

「……先輩、何があったんですか?俺に話してみてください。力になりますよ?」

「……っ」

翠の優しい声に、僕は違和感を感じた。僕なんて、優しくされる資格なんてないのに……。

「ねぇ、先輩。上下関係なんて、関係ないから。後輩を頼っても良いんですよ」

誰かを頼っても良いって……聞き飽きた。僕は、人を頼れないんだよ。それに、僕は誰も信用なんかしてないし。
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