花魁夢楼〜貴方様どうか私を買っていただけないでしょうか〜
流一郎は武家の家の人間でいずれは武士になる立場だというのに、泣き虫で臆病な性格だった。いじめられて泣いている流一郎をいつも夕顔が守っていたのだ。そして、ずっと一緒にいようと約束を交わした。

「お前を守れるよう、強くなった。あの場所にいた時のように豪華な着物などは買ってやれないかもしれない。それでも、妻としてそばにいてほしい」

夕顔は涙を拭い、「豪華な着物なんて、必要ないでありんす。わっちは……自由と愛があればそれでいい……」と言った。

「夕顔!!」

流一郎が夕顔を強く抱き締める。そして、二人の唇が初めて重なった。

今まで夕顔は多くの男性と唇も体も重ねてきた。しかし、流一郎とする口付けは今までのどんな口付けよりも幸せなもので、微笑んでしまう。

ようやく、夕顔の心に橙色の花が咲いた。





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