ハナヒノユメ
学校が終わって、先輩の元に行くのが少しだけ怖かった。

許してもらえたと思うけど...。

それでも...。

「安東先輩。」

「あ、上條くん。
ごめんね、今日もちょっと用事で...。」

「はい。了解です。」

「あの、いつも委員会行けてないけど、何かやっておいたほうがいいことってある?」

「いえ、大丈夫ですよ。
お見舞いですよね?」

「うん。もう結構良くなってるからそろそろ手伝えると思うけど...。」

「ありがとうございます。でも、ご無理はなさらないでください。」

「こちらこそいつもありがとう...。
でも、いつも大変だよね?」

「いいえ。平気です。
お役に立てることあったら、ご遠慮なく言ってください。」

「優しいんだね...。」

「いえ、そんな...。
安東先輩こそ。」

「私?」

「はい...お見舞いずっと行ってるなんてとても優しい方なんだなって。」

「...。」

「あ、すみません。なんだか、変なことを言ってしまいましたかね...?」

「ううん。そんなこと思ってくれてるなんて、思わなくて。
いつも迷惑かけてごめん...。」

「迷惑だなんてとんでもない。
むしろ、尊敬...というか。」

「尊敬...?」

「はい。街で見かけたんです。
花を買って病院に向かっている先輩を...。」

「そうだったんだ。」

「はい。最近は先輩、やっぱり良いことあったのかなって思って。」

「え、まあ...そうだね。」

そんなに、嬉しそうにしてたのかな、私。

それに、尊敬...。

そんなんじゃないのに。
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