何様のつもり?
家に着くと、ホッとした。

「あぁ、疲れた」

雨だったせいもあるし、あつしさんの態度も気になるし……。


でも、私が考えてもしょうがないし、今日は早く寝よう。私は、お風呂に入ってすぐに寝た。


翌朝からは、毎日がバタバタしていて、ほとんど取材ばかりだった。

あっという間に、週末を迎え、私はらんさん達の結婚式に向かった。あつしさんは、迎えに行くと言ってくれたのだが、私が嫌だった。

蓮翔と別れたばかりとはいえ、まだ蓮翔のことが好きだし、これからもその気持ちは変わらない。蓮翔以外の人を好きになることなんて、考えたことがなかった。それは、今も変わらない。大好きでしかたないのだ。だから、蓮翔の気持ちは分からないけど、誤解されるような行動はしたくない。

タクシーに乗って少し早めに会場へ向かった。
新婦側の受付を私が引き受けたので、その準備をしなければならなかった。

結婚式場のスタッフの方に、確認して受付の場所へ向かった。

ロングドレスを着ているので、いつもより動きづらい。オマケにかなり高めのヒールなので歩くのが、遅くなってしまう。

いつもセカセカと動き回っているので、今日くらいはゆったりした行動をしてもいいかな?

今日の私はブラックのロングドレスで、ゴールドのハイヒールを履いている。いつもより増して、背が高いがココぞとばかりに履きたい靴を履いた。背だけが目立つだけで、美人でも可愛くもないし、声かけられることもないだろう。

それに今日は、らんさんが主役。

「きっと綺麗だろうなぁ」

想像しただけで、私まで幸せな気持ちになってしまう。


「お前、何ニヤけてるんだ?かなりあやしいぞ?」

そ、その声は?
まさかね。こんなところにいるわけないし……。気のせいだよね?

「おいっ。聞いてるのか?」

声のする先を振り返ると、そこには蓮翔が立っていた。

「なっ、なんで蓮翔が、ここにいるの?」

「俺も受付だし。新郎側のな」

「えっ?颯さんと知り合いなの?」

「言ってなかったか?俺の秘書の兄が颯さんなんだよ」

あまりにも驚いて、蓮翔の顔を見つめてしまった。

でも少しの間、蓮翔には会いたくなかったな。まだ、気持ちを気づかれないようにするには、時間が足りない。なのに、目の前にいたら、ずっと見てしまう。それくらいカッコイイし、大好きなのだ。

「困ったなぁ……」

どう対応いたらいいのだろう?

蓮翔が受付ということは、女性はみんな蓮翔に惚れてしまう。その光景を隣で見るのは辛すぎる。でもこれからは、慣れないと……。

私は、自分に言い聞かせた。


受付が始まると、大忙し。2人とも人気のある人だから、出版関係、美容関係、芸能関係たくさんの人が集まった。

笑顔で接しているから、終わる頃には口のまわりが痛いくらいだ。

でも結婚式はやっぱりいいなぁ。羨ましい。私も早く結婚したいなぁって思う。

「お前、何をそんなに黄昏てるんだよ」

「べっ、別にいいでしょ」

蓮翔から顔を背けた。

なんで見てるかなぁ?顔を見られて恥ずかしくなった。

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