何様のつもり?
蓮翔side

秋帆と別れてから、俺は仕事に集中した。

気を抜くとすぐアイツのことを思い出してしまうから。それくらい俺の生活は、アイツなしには有り得なかった。この仕事を始めたのだって、アイツに会った時、カッコイイ男でいたかったし、今度会った時は絶対に付き合ってやるって思ってた。

なのに、いざ付き合ってみたがどうしていいか分からなかった。

仕事は忙しく、アイツの仕事も忙しいのは知っていた。

だから俺の都合で会うのは、迷惑がかかるんじゃないか?

なんて思ったり……。

仕事でかりんさんと一緒にいることが多く、今考えてみれば、秋帆に誤解を招くことが多かった。なのに、なんのフォローもしてあげる事ができなかった。

「俺ってバカだな……」

大好きな女ひとり幸せにしてあげる事もできない。情けなくて笑ってしまう。

高校の時も思ってた。秋帆のそばにいたくて、いつもからかったり、パシりに使ったり、そうやって俺のそばにいさせたかった。バカみたいだがそれが俺の愛情表現だった。

高校2年くらいだったか?ある女子に聞かれたことがあった。なんて言われたか、全然覚えていないが、多分「好きな人はいるのか?」「付き合って人はいるのか?」そんな感じのことだったんだと思う。俺は秋帆にバレたくなくて嘘をついた。「好きなやつなんかいねぇ」って。
今思えば、バカだった。素直になればよかったって今でも後悔してる。なのに、今も素直になれず、また同じことをしてるなんてな。

ほんと笑える。

秋帆が好き過ぎてどうしていいのか、わからねぇ。ずっと一緒にいたいし、俺だけを見ていて欲しい。


俺と別れたら、誰かと付き合ってしまうのか?

今日は、颯さんの結婚式だ。
颯さんは、颯哉の兄で俺も仲良くさせてもらっている。秋帆が颯さんの専属の出版会社で働いているなんて全然知らなかった。

俺は、新郎側の受付をやることになっている。

今日、秋帆は来るのだろうか?俺は複雑な気持ちで会場へ向かった。

会場へ向かうと、もう新婦側の受付の女性が来ていた。

一瞬で秋帆だってわかった。
いつもより綺麗で見惚れてしまった。

アイツは自分がどれだけ綺麗か分かっていない。秋帆に周りの人が振り向くのは、アイツが綺麗だからだ。なのに、アイツは背が高いから注目を浴びていると勘違いしてる。

高校の時も俺がどれだけ阻止してきたか、アイツは知らない。だからずっとそばに居た。これからもそうしたい。やっぱりアイツ以外は考えられない。

やっと決意が固まった。





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