何様のつもり?
「何でキスなんかするの?」

蓮翔の考えてることが分からなかった。また遊びで私をからかってるの?こんなことされてたら、気持ちを抑えられなくなる。

「秋帆が好きだから」

蓮翔は私を見つめてそう言った。

「信じていいの?」

「いいに決まってるだろっ」

強く抱きしめてくれる蓮翔。

蓮翔の心臓の鼓動を聞いて私は決心した。

「なら、蓮翔の思っていることを全部聞かせて。正直にだからね?」

「……わかった。全部話すよ。俺が話したら、秋帆も話せよ。思っていること、全部な?」

「わっ、わかったわよ」

ちょっと恥ずかしかった。

「その服装じゃ寛げないだろ?俺の服でもいいか?」

「えっ?いいよ」

そんなの恥ずかしすぎる。この服装で充分。それに明日、仕事だし……。

「今日は、俺の家に泊まれ。色々話したいことあるし。だから、お風呂入って疲れをとれっ」

「わ、わかった。じゃぁ、お風呂入ってくる」

「バカ。まだ入れてねぇよ。今、お風呂にお湯入れてくるから、待ってろっ」

頭を優しく撫でて、蓮翔はお風呂場へ向かった。もう、ドキドキする。きっと顔は真っ赤だし……。落ち着け、私。

ひとまず落ち着くためにソファーに座った。改めて見ると、ほんとに広い部屋。

蓮翔は社長だもんね。でもここまでくるのに凄い努力したんだろうなぁ。

「頑張ったんだね、蓮翔」

「あぁ、頑張ったよ」

蓮翔が私の隣りに座った。

「お前は、急に俺の前からいなくなるし、お前のこと担任に聞いても教えてくれねぇし」

悲しい表情で私を見つめた。

「蓮翔、担任に聞いたの?」

「聞いた。お前からキスされて俺のこと、どう思っているのか聞きたかったのに、もう会えねぇってどんなに辛かったか、お前分かるか?」

「蓮翔だって、私のこと何とも思ってなかったでしょ?いつも蓮翔の隣りにいたかったから、好きな気持ちだけはバレちゃいけないし、この気持ちだけはからかわれたくなかった。だから、文化祭の日、蓮翔が私に聞いたでしょ?俺のこと好き?って。これ以上一緒にいたら、蓮翔に私の気持ちがバレちゃうと思った……」

「何でバレたらだめなんだよ」

「だめに決まってるでしょ。私のこと何と思ってないって言ったんでしょ?高校2年の時、女子生徒が騒いでた。それで知ったんだ。蓮翔は私のこと好きじゃないって。一緒にいるには、この気持ちを知られては行けないって。そうじゃなかったら一緒にいられないって思ったから」

「お前バカだろっ。はぁ、俺の方がバカだな」

「なんで蓮翔がバカなの?勝手に私がやっただけなのに……」

「高校の時、もっと素直になってればって後悔してるんだよ。そうしたら、ずっと一緒にいられたのに……」

切ない顔をして私を見つめ、頬に触れた。

「やっと会えた」

「……」

大人になった蓮翔は、カッコ良さに磨きが増し、セクシーさが追加された。蓮翔に見つめられたら、女性は一瞬で恋をしてしまうだろう。


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