あの日の君になりたかった。
まるで“忘れないで”というように、時折思い起こすように同じ夢を見る。
音のない、映像だけの夢。
舞う桜のように降る雪の中、わたしの先に向かい合うようにして立つ君が、泣くように笑っている。
これは、もう何年も前になる、『あの日』の君とわたしだ。
この夢を見て起きると、必ずわたしは泣いている。
とめどなく、涙が零れるのだ。
きっとまだ、わたしの中であの頃のことがうまく消化できていないからなんだろう。
今でこそ分かることだけど、わたしは君が好きだった。
言葉にすることは一度だってなかったけれど。