冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
「すまない。こんなに嬉しいのは、いつぶりかわからなくて、つい顔が緩んでしまって……」
「ふふっ、いつもそうやって笑っていてくれたら、オリビアもあなたを怖がることはないだろうし、私も嬉しいわ」
リリーはそう言うとリアムの胸に額をつけた。
自身に心を許した仕草を見せるリリーを前に、またリアムの胸が高鳴り始める。
「……困ったな。今晩、オリビアのもとにきみを帰さなければいけないのに、リリーが可愛すぎて帰せそうにない」
ぽつりとつぶやかれた言葉と同時に、リリーはくすりと笑みを零した。
「それならば、これからは少しずつ、三人で眠る日も作りましょう?」
「三人で?」
「ええ。もちろん、あなたが任務から早く帰ってきたときしかできないけれど。それまでにも徐々にオリビアにあなたのことを知ってもらえるように、私も精いっぱい努めるわ」
再びリアムの胸に頬を寄せたリリーは、穏やかな気持ちで目を閉じた。
(これから、少しずつ心を繋げていけるはず)
窓の外に浮かぶ白い月だけが、愛を育み始めたふたりを見守っているようだった。
リアムはリリーの肩を抱き寄せると、今度は慈しむようにリリーの髪にキスをした。