冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
「オリビア、そんなに走ると転んでしまうぞ」
リリーとリアムがキスを交わした夜から、早三週間が経とうとしている。
あの日以来、リアムは忙しい任務の合間を縫って邸に帰ってくると、オリビアと積極的に触れ合う時間を持つようになった。
そして夜は必ず、リリーの待つ寝所へ戻ってくるのだ。
約束通りオリビアを挟むようにして三人で眠る夜は穏やかで、とても幸せな日々だった。
「きゃあ〜! たかいたかい!」
その甲斐もあり、オリビアも今ではすっかりリアムに懐いている。
もともとあまり人見知りをしない子ではあったが、お気に入りのうさぎのぬいぐるみの贈り主がリアムであったと知り、余計にリアムのことが気に入ったようだった。
「もっとー、たかいたかい!」
庭でリアムに高く抱えられ、空に向かって目一杯手足を伸ばすオリビアは楽しそうに笑っている。
リアムはリリーの想像以上に子供の扱いが上手く、ソフィアもそんなリアムの姿に最初は驚いた様子だった。
「きゃっ、きゃあ! すごーい!」
「オリビア、あまりはしゃぎ過ぎると疲れてしまうだろうから、そろそろ休もう」
「うんっ!」
リアムに声をかけられたオリビアは、当たり前のようにリアムの手をギュッと握る。
小さな手をそっと掴み返したリアムは、とても幸せそうに微笑むと再度オリビアの身体を抱え上げ、今度はオリビアを肩車しながらリリーたちのもとまで戻ってきた。
「おかーたま! みてみてー! たかいたかい!」
「ふふっ、お疲れ様。オリビア、たくさん遊んでもらえて良かったわね」
「うんっ!」
オリビアの無邪気な笑顔を見たリリーは、柔らかに目を細める。
「オリビア様。お楽しみのところ残念ですが、そろそろお昼寝のお時間ですよ。ソフィアと一緒に、お部屋に戻りましょう」
リアムの肩から降ろされたオリビアに、ソフィアが微笑みながら声をかけた。
それにオリビアは、「もっとあそびたい!」と駄々をこねたが、
「また明日、今度はかくれんぼをして遊ぼう」
と頭を撫でたリアムに窘められ、素直に部屋へと向かっていった。