冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
「僕はあなたを妻にしたら、これまで僕を楽しませてくれた女たちさえ捨てても良いと思っていました。そして彼女たちの代わりに、毎夜あなたを抱けることを楽しみにしていたのですよ」
「な……っ!」
「それなのに、不治の病に侵されたと聞いたときは、どれだけ僕が落胆したか。しばらくしてあなたが亡くなったと聞いたときには悲しみで胸を震わせ、他の女性を代わりに抱いても、しばらく立ち直ることができませんでした」
さも当たり前のことのようにエドガーは言ってのけたが、聞けば聞くほど不愉快になる言葉に、さすがのリリーも吐き気を覚えるほどだった。
最初からわかっていたことだが、この男はリリーと同じ女性を道具のようにしか思っていないのだ。
自分の都合の良いときに、都合のいいように欲望を満たすための存在としか思っていない。
たとえ国のためとはいえ、こんな男の妻になろうという時期があったかと思うと改めてゾッとする。
三年前、リリーがオリビアを身籠っていなければ……今頃リリーは本当に、エドガーが言ったとおりに、この男の慰み者となっていたかもしれないのだ。
「ああ! でも今、きみと運命の再会を果たした僕は、神に心から感謝している! まさか、きみの方からこうして僕のもとへやってきてくれるとは、きみも僕と同じ気持ちであるということに決まっているね!」
歌劇のように大袈裟に手振りをつけたエドガーは、ゆっくりと歩を進めてリリーのそばまでやってきた。
リリーは慌てて後退ったが、すぐに壁際まで追い詰められて逃げ道をなくしてしまう。
「こんな薄汚れた使用人服など、美しいきみには似合わない。今すぐ湯浴みをして、美しいドレスに着替えなさい。そして僕の寝所で、朝まで濃密な時間を過ごそうじゃないか」
「嫌……っ! 触らないで‼」
リリーは自身の右手首を掴もうとしたエドガーの手を、力いっぱい振り払った。
けれど肉付きの良い手はすぐにまたリリーに伸ばされ、爪を食い込ませるほどの力でリリーの抵抗をねじ伏せた。