冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
「ロニー?」
「本当はあの頃してもらったみたいに、今度は俺がリリー様を抱きしめたかったけど。そんなことをしたら本当に命がなくなりそうなので、潔く、あきらめます」
ロニーはそう言うと、改めてリアムに向き直った。
そんなロニーに対して相変わらずリアムは不機嫌そうに顔をしかめていたが、すぐに「ふぅ」と息をつくとリリーの身体を更に強く引き寄せた。
「……とりあえず、事後の処理は外にいるダスターに指揮を任せる。俺はリリーと一足先にラフバラに戻り、無事に任務完了したことを国王陛下にお伝えすると、外にいる連中に伝えてこい」
そうしてリアムのその言葉の通り、しばらくしてリリーはリアムとともにグラスゴーをあとにした。
リアムに支えられ、彼と再会したときに彼が乗っていた黒馬に揺られながら、リリーはこれから世の中が大きく変わる予感を感じていた。
いつの間にか夜空には宝石のような星々が輝いている。
満月が作った道を直走る騎馬は、まるでどこへでもふたりを運んでくれるように力強かった。