ベジタブルハンバーガー
オレは緊張したまま
映画どころじゃなかった
映画のエンドロールが流れた
まだ篠田さんはオレの肩で寝てた
「篠田さん…」
みんなが立ち上がって帰って行く
余韻に浸ってる人もいる
「篠田さん…終わりましたよ」
寝てるのは篠田さんだけ
興味のない映画に付いてきた彼女
みたいなシチュエーション
「篠田さん!」
「…え…
…え?
…え!
…
終わった…の?」
「はい、終わりました
起こさなくて、すみません…」
やっぱり起こした方が良かったかな
あんなに楽しみにしてたのに
「ごめーん
せっかくついて来てもらったのに!
ホントにごめんね…
楽しみにしすぎて
昨日の夜、寝れなかったんだ」
起こさなかった事が
なんか申し訳なくなってきた
「もう1回観ますか?」
「え…?」
「この次の次の回なら
まだ席空いてるかも…
遅くなってよかったら
もう1回観ませんか?」
オレも集中できなくて
内容入ってこなかったし…
「いいの?」
そう言った篠田さんの顔が
もぉ嬉しそうだった
「はい」