ベジタブルハンバーガー

オレは緊張したまま

映画どころじゃなかった




映画のエンドロールが流れた

まだ篠田さんはオレの肩で寝てた



「篠田さん…」


みんなが立ち上がって帰って行く


余韻に浸ってる人もいる



「篠田さん…終わりましたよ」



寝てるのは篠田さんだけ



興味のない映画に付いてきた彼女

みたいなシチュエーション



「篠田さん!」


「…え…
…え?
…え!

終わった…の?」



「はい、終わりました
起こさなくて、すみません…」



やっぱり起こした方が良かったかな

あんなに楽しみにしてたのに



「ごめーん
せっかくついて来てもらったのに!
ホントにごめんね…
楽しみにしすぎて
昨日の夜、寝れなかったんだ」



起こさなかった事が
なんか申し訳なくなってきた



「もう1回観ますか?」


「え…?」


「この次の次の回なら
まだ席空いてるかも…
遅くなってよかったら
もう1回観ませんか?」


オレも集中できなくて
内容入ってこなかったし…



「いいの?」


そう言った篠田さんの顔が
もぉ嬉しそうだった



「はい」





< 18 / 575 >

この作品をシェア

pagetop