ベジタブルハンバーガー
梨花さんがまた
子供連れの家族を見て羨ましそうにした
子供…
もぉ…できない…
「あーやって
幸せそうにしてても
不倫してるかもよ…」
子供連れの夫婦がオレの方をチラッと見た
「りっくん!」
「わかんないよ
梨花さんの旦那さんだって出張とか言って…」
え…
梨花さんが曇った
「ごめん…
冗談…」
言い過ぎた
「…冗談、じゃないよ…」
「え…」
だいたいひとりだから…
さっき梨花さんが言った言葉が過ぎった
「…ホントかも…」
梨花さんの旦那さんも不倫してるってこと?
なんで…
「へー…
まぁ、いろいろあるよね」
なんて言っていいかわからない
「うん…いろいろあるよ
じゃあ、帰ろうかな…
仕事中にごめんね
声掛けてくれて、ありがとね
りっくん」
梨花さんが立ち上がった
「自宅、近いの?」
「うん、まぁ…」
「送るよ」
梨花さんは首を横に振った
「ひとりで、帰れる…」
「うそ…心配…
ちゃんと、帰れるか、心配…」
「…大丈夫だよ…」
「大丈夫じゃないよ…
梨花さん、心配…」
だって
寂しそうだよ
梨花さん
「じゃあ…駅まで…
ありがと、りっくん」
無理に笑わないでよ