ベジタブルハンバーガー

それから…



ーーー



「今のが10回目のキスだよ」



「ノア、そんなの数えてんの?」



「うん
私がしたマスクのキスは
カウントしてない
私もルカも10回目のキスだよ」



ルカが初めてしてくれたキスが

私の初めてのキスで

ルカも初めてのキス



1回目からずっと数えてる



これから数え切れないくらい

ルカとキスしたいって

キスされるたび思う



「じゃー、ごめん…
正直に言うわ」



「え?」



「今のが…10回目…じゃない」



「…ん?」



「ごめん…」



「もしかして…

ルカ、あの人と…?
前に、会ってた人?

やっぱり、好きだったの?
あの人のこと…」



見たことも会ったこともない人だけど

ルカから香るあの匂いを思い出した


ズキン…


綺麗な女性の匂い

私みたいな子供じゃない



「もぉ、会ってないよね?」



「そーじゃなくて…
違う…あの人は、なんでもないから…」



「じゃあ…他にもいたの?
私と付き合う前に
ホントは彼女いたとか?」



それなら仕方ないよ


ルカ、モテるだろうし



今まで彼女いなかったとか

私が初めての彼女とか

そんなわけなかったよね

やっぱり…



「いや…それも違う

嘘つくの嫌だから言うけど…

初めてキスする前に
キスしてた

ノアが寝てたから、その時した…
ごめん…」



「え…私に…?」



「うん…怒った?」



「じゃあ、今日のが11回目…?」



「いや…違うかも…」



「…ん?」



「12…13…15回目…ぐらいかも…
ホント、ごめん!
ノアがかわいくて
我慢できなかったんだ」



「そんなに?
そんなに私、愛されてたの?」



「うん…
愛してる…ノア」



「じゃあ、許します
その代わり…」



「なに?」



「今日、いっぱいして…」



「ノアがしたいなら、いいよ」



ーーー

ーーーーー



優しいキス



ルカのキスしか知らないけど

ルカはいつも優しくしてくれる



「ノア…
好きだから…」



ーーーーー



「うん」



「いつもオレのために
一生懸命尽してくれて、ありがと

ノアが作ってくれるご飯好きだよ」



「何が1番好き?」



「野菜がいっぱい入ってるカレーかな」



「え!知ってたの?」



「うん、知ってる
ノアがいつも野菜を細かくして
オレにバレないように入れてくれてたの
指、絆創膏してたでしょ」



「うん、まだ慣れなくて…」



「ハンバーグも中華丼も
全部細かく刻んで入ってた
食べれるようにするね
ノアが指ケガしないように…」



「うん」



ーーーーー



愛されてるな…って感じるよ



ドキ…ドキ…キュン…



「ルカ…ドキドキする…」



「じゃあ、やめる…?」



「ヤダ…」



ーーー

ーーー



「今、何回目でしょう?」



「んー…アレ?
アレ…?わかんなくなった
もぉ…ちゃんと数えてなかった!」



「ノア…
このまま続けたら…
オレ…途中で止めれないかも…

どーする?
止めるなら、今…」



「え、それって…」



「…」



「するの?」



「…恥ずかしいから、察して!」



「…うん…
じゃあ、1回目?」



「…」



「ルカも、1回目…?」



「…そーだけど…
オレも初めてだから…
余裕ないから、余計な質問するな!」



「うん…
じゃあ…お願いします」



ルカが笑った



「ん?なんか、変だっ…」



ーーー

ーーー

ーーーーー



「ノア…」


「…ん?」



ーーー



「後悔してない?」



ーーーーー



「…ん?」



ーーー

ーーー



「後悔、させない…
絶対、後悔させない…」



ーーーーー



「オレを選んだこと」



ーーー

ーーーーー

ーーーーー




ルカの声

ルカの息遣い

私に触れるルカの指先

熱くなった肌

初めて見たルカの身体



全部が大好きで



「後悔してないよ…
ルカで、よかった」



ーーーーー



「初めての人が…」



ーーー

ーーー

ーーーーー




< 515 / 575 >

この作品をシェア

pagetop