*SS集*お稲荷様のお呼びです!
「えっ……?」
思わず声を零す私の目線の先にいたのは、肘枕をしながら横になる一人の男性の姿。
格好があまりにも見慣れない着物を崩して横になっていて、その髪は見たこともないくらい煌びやかな銀髪に目を奪われた。
この世にこんな美しい人が存在するなんて、生まれて初めて知った。
そんな固まっている私に気づいた男性が、こちらをじっと見て眉間にしわを寄せた。
「お前、誰だ?」
「……っ」
凛としたその声に、自然と背筋が伸びてその勢いと共に頭をガバッと下げた。
「へ、碧村 舞紀です……」
「碧村……童の知人か?」
「えっと……」
ただのクラスメイトと言ってしまったら招き入れてくれた東さんに失礼だし、でも軽率に友達とも言ってしまったら東さんにその気がなかったらと思うと何も言えない。