*SS集*お稲荷様のお呼びです!


座卓にふわりと踊る湯気が立ったお茶を美少女が置いてくれ、私は心を落ち着かせるべく一口啜った。


そうこうしていると、また見慣れぬ幼い男の子が私の前に茶菓子を静かに置いた。



「……食え」



ツンとした態度だというのに、その顔はどこか恥ずかしそうでとりあえず頭を下げることしかできない。


茶菓子を置いて出ていってしまった男の子をただ黙って見送ることしか出来ずにいると、すれ違うかのように今度は東さんが居間に入ってきた。



「舞紀ちゃん、本当にっごめんね?!」



ヘロヘロになって帰ってきた東さんを見て、私は苦笑を浮かべつつ首を横に振る。


何が何だか分からないけれど、私の日常から考えたら有り得ない事ばかりでそれがとても新鮮で、なんだか緊張を通り越して、楽しんでいる自分がいた。



「じゃ、やろっか!」



私の右隣に座った東さんは気を取り直して、任された仕事を一緒にこなして行く。


そんな横顔を盗み見しながら、私は心の中で小さく笑う。





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