*SS集*お稲荷様のお呼びです!



やれやれ本当に困った神様だ。

この体勢のまま、嘉さんが起きるのを待ち続けるのも少々キツい。

ここは無理にでも起きてもらわなければ、私の腰がやられてしまう。

背中の重みを消すべく、後ろを振り返り声を掛けようとした。

だけど、その前に動いた私に反応した嘉さんは私の腰に手を回して膝上に頭を乗せてきた。



「よ、嘉さん?」



起きてるのかどうかも分からないまま、声をかけると嘉さんは微かに眉間にしわを寄せたかと思えばまた規則正しい寝息を立て始めた。

んん……と小さな声を出して、小さく頬を私に擦り付けてくる。

いやはや、これは一体どうしたらいいものか。

こんな寝顔を直に見せられてしまったら、素直に叩き起こすのも可哀想に思えてくる。

仕方ない、私の休憩がてら暫しの間は止まない雨に目を向けていよう。

そう思って障子の隙間から見える景色を見つめていると、いつの間にか私も規則正しい呼吸を繰り返し始めていた。




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