*SS集*お稲荷様のお呼びです!
しばらくすると玄関の方から伽耶ちゃんの帰りを知らせる声が聞こえてくるけれど、迎えにいけるようなハッキリとした意識を保つことができない。
ぼやぼやとする意識の中、こちらの部屋に近づく足音が響く。
そしてふっと小さく笑い、足音がどこか遠くへ行ってしまったかと思えば次に意識した時は肌掛け布団がふわりと肩に掛けられた。
「やれやれ、大きな子供達だな……ゆっくりお休み」
その落ち着く声が私を優しく撫でて、深い深い眠りへと誘い込む。
鬱陶しいと感じていたはずの雨音は、いつの間にか心地のよい子守唄へと変わっていく。
程よい温かさを感じながら、私は夢の中へと旅立った。
ーーそんな梅雨の日。