*SS集*お稲荷様のお呼びです!
「あの、どうかしました?」
そこまで深い交流があるわけでもない、ただのクラスメイトに対してどのように反応していいのか分からずにいると、東さんは両手を合わせて頭を下げた。
「私、舞紀ちゃんと同じ係なのに先生気づいてなくって一人で仕事やるみたいな形になってたから」
「あ、別に大丈夫ですよ」
「良くないよ!一緒にやるよ……!」
こちらが首を縦に振らなければ引き下がるものかという勢いと、瞳の輝きに私は渋々頷くと東さんは優しい笑顔で良かったと呟いた。
こうして私の日常が非日常へと変わり、普段隣を歩く人がいないというのに東さんと共に下校する形となる。
教室で済ませても良かったとは思うものの、少々教室内が騒がしく任された仕事がスムーズに進むとは思わないと東さんは自分の家に招くと言って、私はその少し後ろで背中を追って歩く。
帰る方向的にはとりあえず一緒だから、任された仕事が終わった後も時間をかけずに帰ることができそうだ。