あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜

プロローグ 会いに行くよ

飛行機がゆっくりと動き出す。僕は絵を描く手を止め、飛行機が離陸するのを待った。胸が高鳴って止まない。

僕はこれから遠く離れた北海道へ向かう。六年前に奇跡のような方法で出会った友達、それから初めて好きになった子に会いに行くんだ。

空は綺麗な青。まるであの時みたいな綺麗な青だ。空を見上げると昨日のことのようにあの日のことが思い出されていく。

あの五人と出会わなかったら、僕はきっとこうして絵を描くことなんてなかった。あの五人に会ったから、僕は好きなことを夢にしようって決めたんだ。あの世界を旅することによって、自分を受け止めることができたんだ。

「みんな、元気にしてるかな……」

最後に会ったのは六年前のあの日だ。それからはLINEや電話でしかやり取りがなかった。当然だよ、だって僕たちは住んでいるところがバラバラだから。

空を見上げるのをやめ、僕は手元にあるスケッチブックを見つめる。まるでRPGゲームのキャラクターみたいな格好をした僕らが笑っている絵を描いている途中だった。