あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
「……あたしたちをどうするつもり？」

男性は笑いながら近づいてくる。未来と瑠花は二歩ほど後ずさった。

「大事な商品だからね。傷はなるべくつけたくないかな」

その言葉で、未来は街の人たちが話していた人身売買のグループはこの人たちなのだと理解する。そして、本を取り出して構えた。

白い光と男性たちの声が、裏路地にしばらく響いていた。



未来が目を開けると、そこにあったのは薄汚れた廃屋の一室だった。もう外は暗くなっている。

「未来ちゃん、大丈夫？疲れてたみたいで眠ってたんだけど……」

未来の近くにいる瑠花に声をかけられ、未来は「大丈夫だよ。少ししか寝られてないみたいだけど」と笑った。その手は後ろできつく縄で縛られている。

未来と瑠花は必死に戦ったのだが、悪魔を相手にしている時とは状況が違う。人を傷つけてしまうことを躊躇い、人身売買グループに捕らえられてしまったのだ。手足を縛られ、グループのアジトである森の中の廃屋に監禁されている。
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