あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
「魔法の杖も本も奪われちゃったし、今の状況じゃ脱出は難しいかな……」

未来は何とか逃げ出せないか考えてみるものの、手足を縛る縄は外せそうにない。さらに部屋の窓などは木が打ち付けてあるため、簡単には逃げ出せないようだ。おまけに人身売買グループの人数は思ったよりも多い。

「未来ちゃん、きっと帆高くんたちが助けに来てくれるよ。だって未来ちゃんは最初にーーー」

瑠花が話を続けようとすると、ガチャリと音を立ててドアが開く。未来と瑠花がそちらを見ると男性が微笑みながら立っていた。その手には未来たちのご飯なのかリゾットがある。

「あなたは……!!」

未来が男性を睨み付けると、男性は「俺の名前はジェフリー。買い手が決まる間は二人の世話をすることになったよ。ちなみにここのリーダー。よろしくね」と言いながら未来たちの近くに座る。

「リーダーがお世話をするんですか?」

瑠花の質問にジェフリーは冷たく笑う。そして瑠花の腕を掴んで引き寄せると言った。
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