あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
「他の連中に任せたらこの体が綺麗なままじゃすまない可能性があるからな。最近の買い手はうるさくてさ。純潔な女の子をみんなほしがるんだよ」

ジェフリーの冷たい瞳のせいか、恐ろしい話のせいか、瑠花の瞳に涙が浮かぶ。未来は慌てて「瑠花ちゃんを離して!!」と叫んだ。

「わかってるよ。そんなに怒らないで」

ジェフリーは瑠花を離し、スプーンにリゾットを入れる。そしてそれを未来の口元に持っていった。

「これ食べて」

誘拐犯の出す食事など何が入っているかわからない。未来は口を固く閉じていたが、ジェフリーに無理やり食べさせられることになってしまった。それは未来だけでなく瑠花も同じだったが。

誘拐という恐ろしい犯罪に、未来は瑠花と巻き込まれてしまったのだ。



ジェフリーが出て行った後、未来は固く縛られた縄を解こうともがいていた。瑠花も解こうとしているが、「ダメ。解けない……」と嘆く。

正確な時間はわからないが、恐らくもう夜中近くになっているのだろう。
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