あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜

「私の名前はローザ。美術館を経営しています。以前はここには多くの人がやって来ては旅の合間に芸術に癒されていました。しかし、この街では悪魔やエルルカが頻繁に現れるので誰も立ち寄らなくなりました。悪魔たちが旅人たちを襲うせいです！そのせいでこの街から笑顔が消えた！」

悲しむローザに、「この街にエルルカが現れるんですか？」と瑠花が驚く。エルルカを倒すという目的のために未来たちは旅をしているのだが、エルルカの姿をまだ一度も見たことはない。

「私も見たことがあるのです。旅人から笑顔を奪っていた。あの魔女は世界一恐ろしい厄災の魔女です！」

ローザがその場に崩れ落ちて泣き出し、英美里が「ローザさん！」と駆け寄り彼女の背中をさする。未来も「私たちが必ず倒します！」とローザが安心できるような言葉をかけた。

「……ありがとうございます。あなた方のような勇者様がいてくれると、私も街の人も心強いです」

しばらく泣いた後、ローザはそう言い立ち上がる。そしてお礼に美術館を見てほしいと言った。帆高の目がさらに輝いたのは言うまでもない。