あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
ローザの経営する美術館は、歩いて十五分ほどのところにあった。赤煉瓦造りのおしゃれな美術館だ。
「美術館なんて初めて!」
瑠花がそう言い、未来も「あたしも初めて」と頷く。大地も瀧も初めてなようで、「どんな作品があるんだろう」と話している。
「英美里ちゃんは初めてじゃないんだ?」
「カナダにいる時に友達とモントリオール美術館に行ったことがあるよ。とっても楽しかった!」
「モントリオール美術館ってあの有名な!?いいなぁ〜」
「フフッ。カナダに行ったら絶対オススメ」
帆高と英美里は美術館の話で盛り上がっている。美術館のことを話せる英美里が未来は羨ましく思えた。
美術館の中に入ると、たくさんの絵画が出迎えてくれる。未来たちの世界の作品はなく、全く見たことがない作品ばかりだ。
「それではご自由にどうぞ」
ローザがニコリと笑って言う。未来たちは「ありがとうございます」と言い、自由に美術館を回り始めた。