あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜

中庭には大きな木が植えられている。その木の枝の上に誰かが立っていた。その姿を見た刹那、未来と英美里は顔を見合わせる。

「未来ちゃん、あの人って……」

「もしかしたら……！」

黒いフードを深くかぶったその人物は、表情も体格もわからない。しかし、その人物が放つ暗いオーラに未来たちは誰なのかを察する。

「あなた、エルルカ・ハイドレンシア？」

瑠花が訊ねると、「さすが勇者だな」とその人物ーーーエルルカは笑いながら言う。未来は本を取り出し、瑠花も戦闘態勢を取った。

「二人を守るね！」

英美里が呪文を唱えると、二人の体を白い光が包む。未来と瑠花は「ありがとう」と英美里に笑い、エルルカの方を向いた。

「瑠花ちゃん、サポートしっかりするからね！」

未来は本を開き、ドラゴンを召喚する。瑠花は「ありがとう」と言いエルルカに向けて杖を向けた。

「一体、何が目的なの？あなたはこの世界をどうしたいの？」