あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
「私があなたたちに美術館なんて店なかったから、こんなことには……」

泣き続けるローザに、「やめろよ」と英美里のように震えた声で瀧が言う。

「足立は……足立は、まだ死んだわけじゃないじゃろ。泣いている暇があるなら足立を助ける方法を探そう」

「……そうだよな。いつまでもこうしていたって何も変わらないもんな」

ずっと黙っていた大地が立ち上がる。そして壁に立てかけてあった剣を腰に差して未来たちを見つめた。

「俺、エルルカの呪いで何か知っていることがないか街の人に聞いてくる」

「俺も行くじゃけん」

「私も!私も行く!」

瀧と英美里も立ち上がった。帆高は「僕は古い書物を当たってみるばい」と真剣な顔で言う。そして未来はどうするのかと全員の目が向けられた。

「あたし……」

未来はベッドの上で苦しむ瑠花を見つめる。いつも優しく微笑み、みんなのお姉さんのような存在の彼女は、こうして呪いと戦っている。
< 126 / 193 >

この作品をシェア

pagetop