あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜

百年以上昔、この街で恐ろしい病が流行ったそうだ。困り果てた人々だったが、一人の少年が丘の上で黄金に輝く花を見つけた。その花をすり潰して飲むと、なんと病が一瞬にして治ったのだ。

「この黄金の花は、どんな病や呪いにも効くと言われています」

「その花があれば瑠花ちゃんを助けられる……！」

帆高たちに話してみようと未来はギュッと拳を握り締める。その時、瑠花が苦しげな声を上げたため、慌てて未来は瑠花に声をかけた。



その日の夕方、街から帆高たちが帰ってきた。

「足立の具合は？」

瀧の問いに、「すごく苦しそう」と未来は答える。全員の目は心配げで、瑠花は何度も「ううっ」と小さく声を上げていた。

未来は苦しむ瑠花を何とか楽にしてあげられないかと、本から魔獣を召喚してみたが瑠花に力を使うことはできなかった。それだけエルルカの呪いが強力なのだ。

「街の人からどんな呪いや病気も治せる黄金の花の話を聞いたんだけど……」