あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
美術館の中を未来たちは探して回る。美術館の跡のため、当然ローザの美術館のように絵画などはない。しかし、アンティークな家具などが少し置かれていたりする。

「どこに黄金の花はあるんだろう……」

未来たちはそんなことを言いながら部屋を見て回る。どこにも花は見当たらない。

「花って地面に咲いているものでしょ?こんな建物の中にあるのかしら?」

英美里がそう言い、大地は「確かにな〜……」と言う。綺麗になったとはいえ、花が咲いている様子は見えない。

「もしかして見落としたところがあるのかな?」

未来がそう言い、もう一度部屋の隅から隅まで探そうという話になった刹那、二階から「お前は!!」という瀧の大声が響いてきた。嫌な予感に未来たちは顔を見合わせ、二階へと走る。

「瀧くん!?帆高くん!?」

未来たちは名前を呼び、声の聞こえる一室へと走る。長い廊下を走り、ドアを開けると未来と英美里は顔を強張らせる。
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