あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
未来が召喚した魔獣たちは、膜を壊そうと動き出す。青龍が高いところから急降下して膜を壊そうとし、朱雀が炎を放ち、白虎と玄武は体当たりを繰り返す。

その様子を見ていた未来は、魔獣たちが体当たりし続ける部分が一瞬だけ膜が薄くなることに気付いた。そして助けられる瞬間はここしかないと未来はグッと拳を握り締める。

「白虎、乗せて!!」

未来は白虎の背中に飛び乗る。膜を叩いていた英美里たちは驚いているが、気にしている余裕はない。白虎が走り出し、膜に体当たりをした瞬間に未来は薄くなった膜の中に無理やり体を押し込んだ。

体はまるで流れの早い川の中にいるように押し返されそうになる。しかし、未来は無理やり体をねじ込んだ。そして、未来の体は膜の中に入り込む。

「瑠花ちゃん!!」

未来は叫び、首を絞められ続けて顔色が真っ青になっている瑠花のもとへと走る。そして首を絞め続けているエルルカを思い切り突き飛ばした。
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