あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
テーブルの上には、おいしそうなハンバーグやサラダが綺麗に並べられている。しかし、豪華な食事を食べているのは両親と姉だけだ。瑠花に用意されていたのは玉子が少しだけ入ったお粥だけだ。

「ねえ、どうして瑠花のご飯はみんなと違うの?」

瑠花はそう問いかけるが、その言葉は無視される。瑠花の母が「愛(あい)ちゃん、おいしい?デザートには愛ちゃんの好きなショートケーキもあるからね」と笑う。瑠花の姉は「やった〜!!」と喜んでいた。

「そういえば、愛はこの前ピアノの発表会頑張っていたな。今度遊園地に連れて行ってやろう」

瑠花の父がそう言い、瑠花の母も「いいわね!愛は誰かさんとは違ってピアノも英会話もダンスも何でもできるんだもの!自慢の娘だわ」と嬉しそうに言った。その誰かさんが誰を指しているのか、全員にはわかっていた。エルルカが口を開く。

「瑠花は姉と比べられ、家族とは思われなかった。瑠花の言葉は無視され、両親からの愛情は全て姉に注がれる。姉のわがままだけは叶えられ、瑠花は欲しいものさえ買ってもらえなかった」
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