あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
家族からの言葉に、瑠花からどんどん笑顔が消えていく。そして瑠花がカッターを手にする様子が映し出された。

「心をボロボロに傷付けられた瑠花は、こうして自傷行為をするようになった。痛みで心の傷を必死で覆い隠す。しかし、こんなに腕を傷付けても現実は何も変わらない」

エルルカは瑠花の手首を掴む。瑠花の手首にはリボンが巻き付けられている。エルルカはそれを無言で解いた。そこには痛々しいリストカットの跡が残っている。未来の目から涙がこぼれ落ちた。帆高たちも表情を暗くしている。

そして映像がまた変わる。中学一年生になった瑠花が映し出されていた。みんなが楽しそうにする中、瑠花一人だけが俯いて歩いている。

「……死んじゃおう」

瑠花はそうポツリと呟き、誰も見ていないことを確認して窓から飛び降りた。映像を見ている英美里が悲鳴を上げ、未来も息を飲む。

地面に叩き付けられた瑠花は身体中から血を流していた。しかし、その顔は穏やかだ。これでようやく死ねる。幸せになれる。そんな瑠花の心の声が聞こえてくる。
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