あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜

「飛び降りて昏睡状態になっている足立！？まさか……」

瀧が顔色を変えてエルルカに近付こうとする。しかし、風がすぐに瀧を吹き飛ばして壁に叩き付けた。

「瀧くん！！」

帆高と未来が駆け寄る。瀧は「早くアイツを止めないと取り返しがつかなくなる！」と叫んだ。未来が瑠花の方を見れば、瑠花はエルルカから大きなナイフを握らされている。

「あそこに眠るお前自身にナイフを突き刺せ。心臓を刺せば一瞬で死ねるから苦しまなくていいぞ」

エルルカがそう言い、瑠花は「これで……やっと幸せになれる……」と嬉しそうに微笑む。その目からは涙がこぼれていた。

「瑠花ちゃん！！瑠花ちゃんやめて！！」

英美里が叫び、風に向かって走る。しかしすぐに弾き飛ばされた。帆高たちも必死で瑠花を止めようと近付くが、風の力の方が強くどうすることもできない。

そうしている間に、瑠花は一歩ずつ眠る自身の体に近付いていく。もしも、本当に彼女が自分の心臓を刺したら……。ミーナやシトロンの話していた願い事の力なら、間違いなく彼女は死ぬ。

「瑠花ちゃん！！やめてぇぇぇぇぇぇぇぇ！！」

旅のことを思い出し、未来は瑠花に向かって泣き叫んでいた。