あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
「また会える日を楽しみにしてる」と英美里。

「みんなに会えてよかったばい」と帆高。

「助けてくれてありがとう」と瑠花。

「みんな……大好き！！」と未来。

白い光に包まれていた未来たちは、互いの温もりが消えていくのを感じた。それぞれが現実の世界に戻っているのだ。未来はまた涙をこぼしてしまう。

五人の体温が消え、未来は泣きながらその場に座り込む。しかし、自宅のフローリングの感触ではなく地面が柔らかい。未来が目を開けると、未来だけが小説の世界にいた。

「ミーナ、シトロン、どうして？」

何故自分だけがここにいるのか、未来は目の前にいるミーナたちに問う。ミーナはゆっくりと未来に近づき、未来をそっと抱き締めた。

「お前がずっと悩んでいたことは解決した。お前は何もできない無力な人間ではない。仲間を想い、助けることのできる偉大な人間だ」

未来はその言葉に涙をこぼす。それはずっと心の奥底にあった悩みだった。それをミーナは見抜いてくれた。それが嬉しくて、未来は「ありがとう」と何度も呟く。
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