あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜

空港を出てからすぐにバスに乗り、未来ちゃんの家である牧場へと向かう。未来ちゃんはどんな大人になっているんだろう。ドッグトレーナーになったとは聞いているけど……。ドキドキしてしまう。

バスの中ではみんなと楽しく話した。LINEや電話よりもこうして顔を見て話す方がずっと楽しい。あっという間に牧場に着いてしまった。

「ここが未来ちゃんの家……」

のどかでとてもいい場所だ。新鮮な空気を僕は思い切り吸い込む。牧場らしい緑が一面に広がって、牛や馬がのんびりしている。こんなところで未来ちゃんは住んでいるんだ。

「帆高くん！」

牧場を見つめる僕たちの背後から声がする。その声は、ずっとそばで聞きたかった愛おしい声。僕が胸を高鳴らせながら振り向くと、中学生の頃とは違ってどこか大人っぽくなった未来ちゃんがいた。イエローのショートパンツに白いノースリーブのTシャツ、そしてTシャツの上からブラウンの羽織りを着ている。