あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
「未来ちゃん……」

僕が呟くも、未来ちゃんはニコリと笑う。ずっとその笑顔をあの時みたいに見てみたかった。嬉しくて、泣いてしまいそうになる。

「英美里ちゃん、大地くん、瀧くん、瑠花ちゃん、久しぶり。やっと会えたね……！」

もうつながることがなかったはずの僕たちは、こうしてここで笑い合っている。奇跡がもう一度起きたんだ。

しばらく再会を喜んでから、未来ちゃんが「牧場を案内するよ！」と明るく言う。そして僕は人生で初めて牧場を楽しむこととなった。

牛の乳搾りを見学したり、乗馬を体験したり、バターをみんなで作ったり、おいしいと評判の未来ちゃんのお母さんが作ったプリンも食べさせてもらった。

時間はあっという間に過ぎていく。もうすぐ夕暮れだ。青い空はオレンジへと変わり、世界を染めていく。

「綺麗だな〜……」

僕が立ち止まって空を見上げていると、「綺麗でしょ？」と未来ちゃんに声をかけられる。周りを見れば瀧くんたちはどこにもいない。
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