あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
森を歩いていると、うさぎが急に飛び出してきたり、小鳥が木の上で歌っていたりする。歩き続けて疲れている未来は動物たちに癒されていた。

「あっ、分かれ道！」

未来たちが進む先に看板が建てられ、道が分かれている。しかし、建てられている看板に書かれている文字は日本語でも英語でもない。まるで古代の文字のような形をしていて読むことができない。

「私たち、森を抜けて北にある古城を目指すんだよね？どっちに行けばいいの？」

英美里が困った顔をするが、未来や瑠花にもこの字は読めない。すると、帆高が看板をジッと見つめた。

「右が北の古城に向かえる道ばい。古代の文字でそう書いてあるけん」

そう言う帆高は何故かどこか戸惑っているような表情だ。「読めるんだ！」と大地や瑠花、そして英美里は驚く。

「考古学者じゃけからやろ」

瀧がそう言い、未来は自分が手にしている分厚い本を見つめる。未来は魔獣使いだ。この世界では現実ではありえないようなこともできるということなのだと、未来は本のページをめくる。
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