あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
「行こう!」

大地がそう言い、未来たちは右の道を歩き出す。相変わらず沈黙が続いていたが、先ほどよりは空気が穏やかになっている気がした。

森を六人は進んでいく。未来は本当に世界は悪い魔女に支配されているのかな、と疑問に思い始めていた。森の中は穏やかで、凶暴なモンスターが登場したりしていない。

その時、先頭を歩いていた瀧と大地が足をピタリと止める。その顔はどこか険しい。未来たちの頬を風が撫でていった。

「逃げろ!!」

大地と瀧が同時に言い、走り出す。未来たちもつられて走り出した。その刹那、未来たちの足元に紫の光線が飛んできた。

「何!?」

「どうなってるの!?」

混乱する未来たちに、「戦うしかないじゃろ!」と怒鳴るように瀧が言い、弓を放つ。弓は光線を放つ敵の方に飛んでいくが、外れてしまう。

「ひっ!」

敵の姿を見て未来の口から悲鳴が漏れる。英美里たちも顔を真っ青にしていた。未来たちを攻撃していたのは、恐ろしい顔をした悪魔だ。
< 21 / 193 >

この作品をシェア

pagetop