あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
「お前たちがエルルカ・ハイドレンシアを倒す勇者たちか？」

挨拶を未来が済ませた後、しゃがれたハスキーボイスが聞こえてきた。未来たちが振り向くと、白く長い髪と髭を揺らした老人が立っている。杖を手にし、髭や髪と同じ白い衣装を着ている。

「そうだけど、あんた誰だよ？」

大地が訊ねると、老人は「目上の者に対してその口の利き方はなんだ！」と怒る。そして言った。

「わしの名はジーク。勇者を育てる村の村長をしておる」

「勇者を育てる村？」

英美里が訊ねると、ジークはコホンと咳払いをして説明をしてくれる。

勇者を育てる村は、剣士や魔法使いなどが修行をするために集まって作られたもので、そこで日々強くなるために特訓をしているらしい。剣士には剣士の、魔法使いには魔法使いの師範がいるそうだ。

「お前たちに修行が必要と聞いた。ついて来い」

そう言い、ジークは走り出す。その走りは老人とは思えないほど速い。未来たちが驚いていると、「早く来い」とジークに言われる。
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