あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜

「ここで今から特訓をする。一週間で魔獣使いとしての術を叩き込む。一週間で全てを覚えろ」

「えっ！？一週間で！？」

未来が驚くと、「エルルカによる不幸の魔法は一刻を争う。エルルカを倒すというのであれば、強い力を早く手に入れるしかない」とジークは冷静に言う。そして未来が手に持っている本を手にすると、パラパラとページをめくる。

「魔獣使いとは、ペガサスやドラゴンなどの特別な生物の力を借り、仲間の戦いをサポートするのが役目だ」

「その本から魔獣を召喚するんですよね。あたしはできなかったけど……」

未来が言うと、ジークは呪文を唱える。すると本が白く輝き始めた。そして光が消えた刹那、ジークの傍らには巨大なドラゴンが現れている。

「えっ！？ええ〜！？」

ジークがドラゴンを出したことに未来は驚く。ジークは冷静に「魔獣使いなら出せて当然だ」と言い、ドラゴンに空を飛ぶように命じた。ドラゴンは低く大きな声で鳴いた後、大空を飛んでいく。それを未来は見つめていた。