あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
「お祭り?とても楽しそうだな!!」

大地がそう言うと、帆高も「ますます行きたくなるけん」と頷く。妖精のお祭りということに未来と瑠花は目を輝かせた。

「ここ最近、妖精が攫われることが多いから警戒してたの」

「そっか。妖精を売ってお金を手に入れようとする人がいるって師範が言ってた」

英美里が悲しげな目をした後、回復させるための呪文とは違う呪文を唱える。すると英美里の杖が光り、妖精の真上に光の粒が降り注ぐ。それはまるで優しい雨のようで美しい。

「この魔法はあなたを守ってくれる。警備、気を付けてね」

英美里はそう言い、微笑む。妖精は「ありがとう!」と言って消えていった。未来は「英美里ちゃん、すごい!!」と言い英美里に笑いかける。英美里は驚いた顔をしていた。

「ヒーラーって誰かを守ることもできるんだな。すごい!」と大地。

「戦いの時、防御も頼むじゃけん」と瀧。

未来たちに声をかけられ、英美里の頬が赤くなっていく。そして小さく「ありがとう」と呟いた。
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