あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
「昔から花が好きなの」

そう言い、英美里はまた花を見始める。その顔はとても楽しそうだ。

このお祭りでは、妖精たちのおかげで四季を楽しむことができるのだと会場を見て未来たちは知った。春の花が雨のように降り、夏のスイーツが売られ、秋は美しい夕日が見え、冬の雪で遊ぶ場所もある。

「こんな場所、僕らの世界にはないけん」

帆高が雪だるまを作り、はしゃぎながら言う。同じように雪だるまを作っていた大地も頷いた。

「雪遊びだったらソリも楽しいよ!」

北海道出身の未来はそう言い、楽しい雪遊びを教えていく。「楽しそう!」と瑠花が言い、みんなでソリをしたりかまくらを作り始める。

「みんな!温かい飲み物、持って来たよ」

雪で遊ぶ未来たちに英美里が声をかける。その手には温かいホットミルクとクッキーがあった。

「どっちか持つ。重そうじゃし」

雪遊びをする未来たちを見ていた瀧がすぐに動く。英美里から全員分のホットミルクの入ったカップを置いたおぼんを取り、顔を赤くしながら言ったのだ。
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