あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
「ゲッ!勇者共……」

「せっかく獣人をいたぶって楽しんでたのによぉ〜」

悪魔たちは面倒くさそうな顔をしたが、すぐに未来たちに標的を変えて魔法を放ってくる。英美里が防御魔法を全員にかけ、大地と瀧が剣と弓で戦い、未来はペガサスを召喚する。瑠花も魔法で応戦し、帆高は男の子を保護していた。

数十分後、勝負は未来たちの勝利で終わる。未来は悪魔を倒した後、帆高の後ろに隠れている男の子に「大丈夫?」と訊ねた。男の子はびくりと肩を震わせる。

「お姉さんたちは誰?僕をいじめるの?」

いじめ、その言葉を聞いた刹那、未来の隣でびくりと瀧が肩を震わせる。未来が隣を見ると瀧の顔は暗く何かを考え込んでいるようだった。

「瀧くん、大丈夫?」

瑠花が訊ねると、瀧は「大丈夫」と答え、未来たちから離れる。一人にしてほしい時に瀧が取る行動だ。未来は瀧を心配しながらも今は目の前にいる男の子を見つめる。

「あなたのお名前は?」
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