あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜
帆高がそう言い、「アーグア……」と未来は呟く。初めて訪れた町は妖精のもので、前回は獣人の住んでいる村だった。

「今度はどんな住人が住んでるんだろうな」

大地がわくわくしたような表情で言う。そして未来たちはアーグアに向かって歩き出した。

アーグアの街は、看板を離れて十五分ほど歩くとすぐに現れた。その景色に未来たちは一斉に「すごい」と呟く。

街全体に水路があり、手作りの木でできた小さな船で移動する人々がいる。また、大きな風車もあり、まるで風と水の都と呼ぶのに相応わしい場所だ。

「すごく綺麗な場所!」

未来がそう言うと、瑠花たちも頷く。瀧が「もっと近くに行こう」と言ったので、街に入ることになった。

「勇者様ご一行よ!」

未来たちが街の門をくぐると、道を歩いている人たちから羨望の眼差しが向けられる。獣人の村ではあまり最初は歓迎されなかったため、未来はホッとしながら人々に会釈した。

「ようこそおいでくださいました、勇者様方。アーグアの街でゆっくりなさってください」
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