あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜

「ちょっと未来、起きなよ」

未来の近くに座る友達が未来を起こそうとするが、未来が目を覚ますことはない。そしてついに先生に見つかり、「おい、寝るな！！」と机を叩かれた。

「わあッ！お兄！！」

未来がそう言い飛び起きると、教室中から笑い声があふれ出す。社会の先生が「俺は榎本の家族になった覚えはない」と言うとさらに笑いが起こる。

「す、すみません……」

よだれを拭い、未来が謝ると先生は「ならこの問題を解いてみろ」と黒板を指差す。それは源氏物語の作者は誰かというものだ。

「卑弥呼様！！」

未来がそう言うと、クラスはまた笑いに包まれる。未来も「ええ〜！ちょっと笑わないでよ〜」と笑った。しかし、先生だけは呆れたような顔をしている。

「お前な、来年は受験だぞ。そんなのでいいと思ってるのか？さすがにこの問題が解けないとまずいから放課後補習だ」

クラス中からまた未来に対して笑いが起こる。「ドンマイ」と友達に言われ、未来は「やっちゃった」と笑った。